第1章の議論の流れ
・実数の大小関係を、下組集合の包含関係で定義。
・そこから、任意の実数の間に無数の有利数が存在することを導出(α<βならα<m<βを満たす有理数mが無数に存在)・・・①
・実数の切断(A,A')で定義されるαは、Aの最大値、もしくはA'の最小値であることを導出。(有理数の切断時のように、どちらにも属さない場合はないことを証明)
ー 実数の切断(A,A')から、有理数を抜き出した有利数の切断(A,A')を作る。
ー 有理数切断(A,A')は実数αを決める(実数の定義より)
ー αは実数切断(A,A')のいずれかに属する(実数切断の定義より)
ー αが実数切断下組Aに属する場合、その最大値となる。なぜならば、
(1)α<βとした場合、α<m<βとなる有理数が必ず存在する(上記①より)
(2)mは有理数切断(A,A')の上組A'に属する。なぜならば、αは有理数切断(A,A')の「境界」で、それよりも大だからである。
(3)従って、mは実数切断(A,A')の上組A'に属する。
(4)従って、β(>m)も実数切断(A,A')の上組A'に属する。
(5)すなわち、α<βとなる任意のβは実数切断(A,A')の上組A'に属する。
・すなわち、実数は(切断境界を持たない場合のある有理数とは異なり)「連続」
・Dedekindの定理「実数の切断は下組と上組の境界として1つの数を確定する」
・「有界」「上界」「下界」「上限」「下限」を定義(セクション3)
・上限の定義:集合Sの上限aとは、次の2つを満たすもの。
(1)Sに属するすべてのxに関してx≦a。(・・・aがSの上界である)
(2)a'<aとすればa'<xなるある数xがSに属する。(・・・aより小なる上界がないこと)
・ワイヤシュトラスの定理を説明し、証明
・「数の集合Sが上方[または下方]に有界ならばSの上限[または下限]が存在する」
・「数の集合」は必ずしも「実数の集合」とは限らない!(はじめ、勝手に実数の集合と考えて理解していたが、「有理数の集合」でも「自然数の集合」でも成り立つ)
・(上方に有界の場合)Sの「上界」と「上界以外」が実数の切断を作る→この切断で定まる数sは「上界」の最小値か「上界以外」の最大値→「上界以外」の最大値とした場合、矛盾が発生→よってsは上界の最小値
・「数列」、「収束」、「極限」を定義(εとn0を使う定義)(セクション4)
・数列の極限に関するいくつかの定理と例を説明
・収束数列の部分数列は元の極限値に収束
・αに収束する数列anについて|an|<MとなるMが存在し、さらに|α|≦M
・有界な単調数列は収束する
・提示される例
・区間縮小法を説明し、証明(セクション5)
・実数の連続性に関する四つの基本定理が同等であることを説明
-Dedekindの定理(実数の切断と境界の帰属→連続性)
-ワイヤシュトラの定理(上限または下限の存在)
-有界な単調数列の収束
-区間縮小法
・数列{an}が収束するための必要十分条件(Cauchyの判定法);任意のε>0に対し番号n0が存在し、p>n0、q>n0のとき|ap-aq|<ε(セクション6)
・「上極限」「下極限」を定義…数列{an}の上限、下限が作る数列の極限
・「点列」と点列{Pn}の極限を定義
・点列{Pn}の収束の必要十分条件を説明…2次元でのCauchyの判定法
・「点集合」と「集積点」を定義(セクション7)
・「有界なる無数の点の集合には、必ず集積点が存在する」(これもワイヤシュトラの定理)の証明
・集積点を使ってSが「閉集合」であることを定義
・「函数」を定義(セクション8)
・これまで数列であった極限を連続変数に拡大(セクション9)
・ε、δによる極限の定義
・1次元ではなく、多次元(P→A)
・極限の例
・連続変数へのCauchyの収束条件の拡大を説明。説明のロジックは次の通り。
・連続変数について上極限と下極限を定義
・函数がある点aで連続であることをε、δを使って定義(セクション10)
・「左からの極限」「右からの極限」「右への連続」「左への連続」を定義
・指数関数について、有理数が定義域にある場合を既知として、極限の考え方を利用して、定義域を無理数に拡大
・「中間値の定理」を説明して、証明。1次元の場合と2次元の場合(セクション11)
・「有界な閉区域で連続な函数は有界で、その区域で最大、最小に到達する」ことの証明
・「連続の一様性」を定義して、証明
・内点、外点、境界を定義(セクション12)
・内点を使って開集合を定義
・点集合の間の距離、点集合の径、を定義
・領域、閉域、連結、連続体、近傍、を定義
・曲線、Jordan曲線、Jordan閉曲線、を定義。